−催眠都市II− ザ・セカンド・ジェネレーション ここは、とある女子高の校庭の一角。 色夢は、そこを「お墓」だと決めていた。お墓とは言っても、別に墓石があるわけでも死体が埋まっているわけでもない。何もない場所にに勝手に意味付けをして神聖視するのは年頃の女子高生には良くあることである。 「警告…あれから一年が発つな。 この年になってどうかと思うのだが、まま上とぱぱ上の命令で、今は学校とやらに通っている。 私はこうやってどうにか生き長らえているが、銅金、お前はもう『戻れない世界』に行ってしまったようだ。 お前といたあの世界にはずいぶん長くいたような気もするが、私の色界では12ヶ月しか経っていなかったと聞かされた時は驚いた。 あの妖精界では何億年もたっていたと聞かされた時ももっと驚いたが。感覚とは不思議なものだな…私が言うのもなんだが。 警告!私の後ろを見てくれ。機械だ。ぱぱ上におねだりして買ってもらったんだ。刃金を思い出すだろ。名前はあいつにちなんで『ムッソリーニ』にしたぞ。警告!『それ全然ちなんでない色夢ばか』とか考えるな! …警告。お前が好きだった骨付き肉、何とか再現して持ってきてやったぞ。ピンク色の風合いが自慢作だ。注意!アイスにしたら不味かったと言っていたな!…」 透明な溶剤が色夢の多色の目からこぼれ落ち、地面の、(この世界の存在全てがそうであるように)色素の集合体の上にこぼれ落ち、ついでに少し溶かす。 「警告…もう一度…会いたいよ…」 突然後ろに小さな人影が。 群青大臣「あの…ナス…」 色夢「なっ何だ?私が学校の隅っこで妖精界の事を思いだしていた事をぱぱ上やまま上にチクる気か?危険、そんな事をしたらお前が仕事をさぼって私の『色攘(しきじょう)高校』を覗きに来ていた事をチクるぞ!」 群青大臣「(やっぱり王女様も理不尽ナス…)違うナス!ラピス様が今すぐお伝えするようにと…」 大臣は色夢の耳元に口を近づけて 色夢の顔色がめまぐるしく変化する。 色夢「何…!?妖精界が? 警告!私の軍服とスプレーガンを今すぐ持って来い!何?『部屋に入ったら怒るくせにナス』だと?警告警告怒るかどうかは私が決めることだっ!行くぞ、ムッソリーニ!」 後ろの宙に浮かんでいる黄色の形容しがたい物体は、動きで喜びを表現する ムッソリーニ「キュッポーン!」 クマンバチ族の集落の全てが破壊に包まれていた。 すでに若くはない小柄な女性が、鬼のような形相で、「それ」を見つめ、精霊槍を構えて身じろぎもしない。 刺世「喜鬼。留々を連れて逃げるのです。」 喜鬼「お母さん、あなたを置いて逃げる訳にはいかない。銅金様は我々クマンバチ族の男には闘いを禁じているが、その禁破らせて頂きます。」 刺世「いいのです。呑霧さんや斬留さんの所に行きなさい。それと私のことはお母さんではなく『刺世さん』と呼んでくれませんか。」 留々「斬留おばさんたち嫌〜い変な臭いするし〜怖いし〜」 刺世「そうですね。そう思います。では、束京都市の、珠子さんという人のところに行って下さい。住所は、一番近くの「後家殺屋」で会長さんに聞いてくれれば通じると思います。私の名前を出せば会長さんに通してくれるでしょう。」 喜鬼「母さんは、ひょっとして、僕らが思っているより余程偉い人なんじゃないか。」 そうこうしてる間に。 刺世「わっ!熱いです痛いです!ひっ!ここは私が食いとめるからさぁ、早く! 行かないと撃ちますよ」 留々「おかーたんのれーざーわーいわーい」 喜鬼「分かりました…」 刺世「珠子さん…私は…間違っていたのでしょうか…少し…怖いですね…」 光が刺世を包み、瞬時にして消滅させた。 TV「みんなー!ミツバチ族のハッチンだよー!さて、元アイド…」 画面端のディレクター(ハッちゃん禁句禁句、またセット壊されたらどうすんの) ハッチ「失礼しました、ビッグゲストをお迎えします、今年の『斬裂ディナーショー』も100万ドリの収益でチャリティーに貢献しました、アーチストの大釜鎌子さんに、近年多発する『妖精集団蒸発事件』にコメントをお伺いしたいと思います。」 鎌子「ハッハッハッ!そのような奴は私が」 ジャキン! TV画面「そのまましばらくお待ち下さい。」 数分後。破壊されたスタジオ。 ハッチ「エヘッ☆さて、次のニュースです、アル中問題でまた統一バスケットボールチームを解雇された呑霧総監督ですが…」 《こんなんヤラセだろつまんねぇよ》 登呂が足でTVを消す。向こうから今日も悲鳴が聞こえてくる。 盗美「ヒェ〜何で私がこんなガキどもに混じってかわいいデクちゃんに相手させないといけないのさ〜」 プロトタイプデク「園児さん達こんにちわ〜」 美羅「黙っとれドアホ!なンヤ分からんけど自分そない小そうなってしもたのに、置いといてやっとるだけめちゃめちゃラッキー思わんかボケ!」 鼠子「あ〜ら当『チューチュー幼稚園』は資産家さんたちのご子息さんのみをお預かりする大切な幼稚園ですわですわ〜あの有名なデクちゃんと生で接して差し上げる事が出来るのは当園のプレステージ、いえカリキュラムの一端と呼べるものですわですわ〜」 そこへ駆け込んできた喜鬼。 鼠子「あ〜らお母様かお父様はどちらからですかしら〜」 喜鬼「ハァハァ…あ、僕は阿蘇湖って言います!母に言われてここに来ました!後家殺さんからの紹介状も預かってます!」 鼠子「あ〜ら何てしっかりしたお子様なのですわですわ〜、でも当園には少し年が行きすぎてますしそれに入学金は…」 喜鬼は少々苛立ちながら無視して続ける。 喜鬼「僕は田間さんに会いに来たんだ!」 そこへ、少しふっくら(?)した保母さんが現れた。 珠子「た〜まちゃんは可愛いのだ〜」 少し太ったとは言え、三つ編みも眼鏡も、母がいつも「あんな人…」と口にしていた珠子である事は、喜鬼でも見るだけで分かった。この年になって、この声で「可愛い」といわれると少し面食らうものは確かにあったが。 喜鬼は事の次第を話した。(隣では盗美が踏み潰されていた) 珠子「そうなのかなのだ…可愛いかった刺世ちゃんも…えーんなのだ。可愛くないのだ。」 大人が泣くのをこらえているのを見て狼狽する喜鬼。 喜鬼「とりあえず、留々をつれてきます。」 後家殺グループ会長室は、畳敷であった。 地雲の外観にはさほど変化はない。もともと皮膚の薄い質ではあったし。 地雲は、訪問者に顔もむけず、肘をついて、藤の籠から饅頭をむさぼり食っていた。 地雲「お引取り頂きたいヤンス。アナタしつこいヤンスよ。」 座羅「違う!貴男はそうやって本当の強い自分を誤魔化しているだけだ。20年前の催眠都市戦争において、市民軍を率いて勝利を収めた貴男!私は武人として貴男に弟子入りしたい!貴男が男である事など関係無く!」 毅然とした、ショートカットの女が、悠然と正座しながら言う。 地雲「いいかげんにしないと、絡めて捨てちゃうでヤンスよ。」 座羅「お!?かたじけない!ついに私と、その『地雲流糸格闘術』を以て立ち会って頂けるのか!」 さぁ、この座羅、いつ何時でも覚悟はできている!かかって来てほしい」 地雲は、勝手につけられた流派名を耳にし、ありもしない眉をひそめるような動作をする。 (ハァー…このストーカーなお客さんのお陰で、何度会長室を変えたか分かんないでヤンス…その破れたおべべ、どうにかしてあげたいでヤンスけど、そういう雰囲気なお客さんじゃないでヤンスからね…) …ここは、人間界。 ナカヤシキ大統領は、苦悩していた。 米国初の日系大統領。「ジャンケンで負けた候補者」から始まり、その押しの弱さと困った顔が逆に女性票を集めて当選してしまった彼は、クレーム調停能力を買われ、現在世界で多発している超自然現象を解明させられる立場になっていた。 取りまとめた、その世界では有名だというチャールズ少佐は、明らかに「変なイギリス人」の典型であった。 「イエス、サー!私、語るほどでもないリバプールの名門の家庭に生まれ、10歳にして20ヶ国語をマスター、王立海軍に奉職して20年、その間世界全ての黒魔術・白魔術・道術・気功・ブードゥー教・忍術を修行致し…」 「き…きみのイギリス式の発音は綺麗だね。」 「光栄であります、サー!大統領どのに褒めていただけるとは感動ものであります、サー!グスン…」 (君何一人で泣いてるの?) とは口が裂けても言えない気弱なナカヤシキであった。その気弱さこそが彼を合衆国大統領たらしめているのは本人も認めたくない事実であったが。 その少佐の人脈だか人徳だか良く分からないが、ナカヤシキの前にはさらに二人良く分からない奴が立っていた。 まず、巨体のロシア人。 ラスプーチン「いや、1919年、皇帝殿が亡くなられたと聞いた時には失礼した。全く私の神への愛を理解出来ない不貞な輩の仕業に違いない。私がいれば、ボリシェビキなどという輩どもより遥かに皇帝陛下の後を統治できたものを。」 (わけわかんねぇよ!) この妄想狂の言う所が本当であれば、彼は、20世紀の歴史書の中で唯一「魔術を使った」と本気で記されている、『ラスプーチン』なる人物らしい。しかしもし彼が主張しているように暗殺を生き延びた(チャールズによれば、『酔っていて記憶にない』らしい)のであれば、100歳は超えている筈なのだが… さらに隣に立っている東洋人。ナカヤシキは、そもそも日本人という輩が大嫌いだった。先祖が日本人というだけで、小さい頃から友人に「anime訳してくれ」「ゲーム持ってんだろ、売ってくれ」などと理不尽な注文ばかりつけられたものだ。 小夜「あ〜ら、大統領さん?あたし、小夜ちゃん!15歳よ。」 その日本人は、まさにアニメやマンガに出てくる、日本の神道の女性神官である「ミコ」そのものの姿をしており、日本人特有の艶やかな黒髪を豊かに伸ばしているのは良いのだが、しかし重大なのは明らかに (っていうかアンタ男じゃん) とナカヤシキならずとも思わせるヒゲと脛の剃り跡であった。 小夜「あら?大統領さん、あたしがオカマだと思ってるの?ひっどーい!小夜泣いちゃう!」 ナカヤシキ「いえ…泣いて欲しいと思っているわけではなく…」 どうやって場を収めれば良いか分からない、というよりもう帰りたいナカヤシキであった。 ナカヤシキ「あのですね…本日皆さんにお集まり頂いたのは、ここ南米の奥地で、『片目で両手が鎌の女性の偶像』を崇拝する謎の教団と、そして跳梁する異形の、まぁ、私などより皆さんの方が余程詳しいと思います生き物に関して調査をお願いしたいと、まぁ…」 ラスプーチン「まぁまぁ、ナカヤシキどの、お近づきの印に、ロシアのウォッカをご馳走したい。良い酒を酌み交わしながら、神の愛に包まれようではありませんか。」 ナカヤシキはさっと大男の持つ、明らかに衛生というより保存状態が良いとは思えない酒瓶のラベルに目を走らす。 (1918年製!?) ナカヤシキは酒が呑めなかった。しかし、この面子の中でそれを言い出す勇気はなかった。 チャールズ「い、い、イエッスサー!大統領どのの呑まれる席に居合わる事が出来て感動であります、サー!」 (あなた敬礼まですることないでしょ) とは口に出せず、涙を流しながら喉の奥に異臭を放つ液体を流し込むナカヤシキであった。 -------------------------------------------------------------------------- あの催眠都市戦争から時が発ち、今度は次の世代たちが妖精国の運命を背負う。 今度は妖精界のみならず、色界、そして人間界をも巻き込んだ大騒ぎ! 今度の敵は、妖精たちを操って人間界の征服をたくらむ妖怪「白狐」! 「私は…はがね…」 「うそつけ。おまえひらがなで喋ってんじゃん。」 キャスト <<妖精界>> 盗美…肉体がなぜか幼児化し、常時身長60cmになってしまった。相変わらず不死身。 プロトタイプデク…暴走したりしながら健在。鼠子の経営する幼稚園でスモック姿で子供達の世話をしている。 喜鬼(きき)…刺世の息子。神官。 留々(るる)…刺世の娘。喜鬼の妹。 銘芽(めいめ)…珠子(現在ふりふり化)の姪。やはり眼鏡っ娘。 座羅(ざら)…地雲に弟子入りをせがむ自称格闘家。地雲は相手にしていない。 蜂須賀(はちすか)…「ハッチ」の愛称を持つ若手女子アナ。司会者もこなす。 <<人間界>> ナカヤシキ…米国大統領。日系人。クレーム処理をさせられやすい性格。口で本音が言えない。 ラスプーチン…20世紀初頭に死んだと思われていたロシアの宗教家。実はシベリアで天然コールドスリープしていた。 小夜…日本の退魔師。オカマで、巫女のコスプレをしている。 チャールズ少佐…英国海軍勤務。神秘学に詳しい。「イエス、サー!」が口癖。まじめ過ぎて逆にヤバイ。 白狐(ホワイト・フォックス)…何百年生きているか分からない化け狐。銅金が去って以降、獣界を裏で支配している。 <<色界>> 色夢王女…なぜか女子高生という年齢設定にさせられて通学中。 ムッソリーニ…謎のパタパタロボ。 臙脂王…色夢の父。九州弁。ラピスとはラブラブ。 ラピス女王…色夢の母。臙脂とはラブラブ。実はやっぱりサディスト。 群青大臣…臙脂とラピスと色夢のわがままにひどい目に会わされている人。頭がとんがっていて絵筆を持っている。 ・人類側の巨大ロボと死闘する夢神訓ハイパーDX。 ・ラスプーチンらと妖精たちの激闘。 ・ひたすら状況に流されハマっていくナカヤシキ。 ・アニヲタに監禁され、体液に汚されるプロトタイプデク。 ミンチになるアニヲタ数万人!コ○ケ爆殺! 無能なイギリス貴族、目をそむけたくなる女装コスプレ、そして魔人! 呑霧主催のイッキ大会は死亡者続出! 考え得る限りの美麗なCGと、不条理炸裂の哲学的ストーリーの融合。 30人の美男美女(+機械)の繰り広げるドタバタかつ一部シリアス Stage 1 謎の勢力による妖精国襲撃。次世代たちが死闘する。 ”いきなりエンディング?” Stage 2 ナカヤシキ登場。鎌子クローンとの邂逅。 ”大統領ブルース” Stage 3 いきなり巨大ロボ決戦。人類のかなりが死滅。 ”日本以外全部沈没” Stage 4 さらわれたプロトタイプデク。登呂たちのキツーイし返し。 ”ゴミ以下のヲタク” Stage 5 対ラスプーチン戦前編。盗美一日最多死亡数更新。 ”不死身の魔人対決” Stage 6 停戦記念バスケ大会が呑霧のおかげでメチャメチャに。事態悪化。 ”殺人エアーウォーク” Stage 7 色王国の介入。色夢、ナカヤシキを追放、米国大統領に。 ”星条旗よ永遠なれ” Stage 8 対ラスプーチン戦後編。地雲死んだふりをする。挫鬼、スーパー妖精に。 ”又のご来店をお待ちしておりますでヤンス” Stage 9 盗美、大気圏外で核爆発。その時自称「刃金mkII」が... ”機械ジャナイ機械ジャナイ機械ジャナイ…” エンディング 14世紀オーストリア。 クンクン(お姉ちゃんは誰なの?ボク銅金、人間だよ!) 「警告!ずっと気付いていた、本当に獣だと分かっているのなら『おれ獣』などと思 う筈の無いことに... これでお前があそこで私の盾になって死ぬこともなくなる... さぁ、明日からは一緒に学校に行くぞ!」